「つまり、お前はオイラが昨日拾ったビクトリアで、自分でも何でその姿になったかよくわかんねえと」
「まったくもってその通りです」
「つうか猫になんつー名前付けてんだ。ネーミングセンスはどこに落としてきたお前」
「ちなみに、私にはって言う立派な名前があります。断じてビクトリアではありません。というかさせません!」

 ビクトリア――ではなくはそう言うと、俺が一先ず貸してやったシャツを頭から被った。頭を出すべき所に手を出したり、逆に手を出すべき所に頭を出したりというのを暫くした後、彼女はやっとシャツを着て見せた。ふふん、とは得意げに鼻を鳴らす。残念ながら未だズボンが残っているのだが。ちなみに、下着は大分前に買ったまま忘れていた新品の物を貸していた。
 しかし、当然の事ながら俺も旦那もシャツの下に着る方の下着は持ち合わせていなかった為、無しの方向である。
 無論、ここまでの一連の動作の間は全て布団を被らせてやらせた。先程のは正直軽くトラウマである。ただ、息苦しかったのか依然顔だけはぴょこんと出して此方に向けていた。

「でもですね、多分これは神様が恩返しなさいって言ってるんだと思うんですよ。お母さんから昔寝る前にされませんでした?そういうお話」
「似てるようで似てない話はされたけどな、鶴の恩返しとか。うん」
「そうそれ!ね、して欲しくないですか、恩返し」

 ぐい、と身を乗り出して俺に顔を近付けてくる。俺が頷くのを待ってます、といった感じで目を輝かせている。の中に断られるという考えは元より無いのだろう。彼女が下半身に巻いたままであった布団の隙間から、そろそろと尻尾が出てきてゆっくりと揺れていた。俺の声を聞き逃すまいと、三角のふわふわもふもふした二つの耳がひっきりなしに動いている。

「だが俺が思うに、猫だって正体明かしてる時点で話が成り立たないと思うが?」
「・・・・え」

 旦那が言った一言に、の動きはぴしりと固まったように急停止した。そしてぎぎぎとロボットのようにぎこちない動きで旦那の方を見ると、「まじですか!?」とかなりショックを受けた様子で言った。

「散々恩返しするって言っちゃったのに!これでさよならってただ私が拾われて可愛がられる間もなく去って行っただけじゃないですか!」
「お前可愛がられる気だったのか」
「だって猫ですし。猫って愛玩動物なんですよ、知らなかったんですか」
「いや知ってるけど。普通自分のこと愛玩動物なんて言わないだろ・・・うん」

 その時、「ピンポンパンポーン」と放送が掛かった。一旦静かになって耳を傾けていると、そこに流れてきたのは「デイダラ、サソリ早く来い・・・馬鹿め」という担任の角都という奴からの呼び出しで。一瞬「?」が頭上に飛んだが、俺がその理由に気付くのにあまり時間は掛からなかった。
 時計が指している今の時刻は、午前七時十四分。俺と旦那は、のお陰で朝食に見事遅刻したのである。





迷いサプライズ!
「あいつ帰ったら追い出してやる、うん!」「生き物は最後まできちんと面倒を見ろ」




(101128 ヒロインちゃんノーブラにしてごめんなさい)