「一般人に、"あれ"を見られたってホーント?」
…お前、やっと起きたのか」

 新選組幹部たちが揃い、真剣な話し合いをしている最中に戸を開けたのは、道化た笑みを浮かべる四番隊組長。そのふざけた様な笑い声に、皆が戸へと目を向ける。最初に声をかけたのは副長土方歳三だった。その声には呆れと怒りが混ざっており―――特に、井上が会議があると声を掛けたのにもかかわらず起きて来なかったのにはかなりご立腹のようで。声色は、少し低かった。
 睨まれたは、睨まれたことを他人事のように気にせず、またもう一度、笑った。

「えぇ?もっかい寝ますよそんなモン。ただその一般人とやらを見ようと」
「はは!さん、それじゃただの野次馬ですよ?」
「ん?総司君…キミの後ろの子が、その子?へぇ、随分と可愛いネェ」
「え、えと…はじめ、まして?」
「ボクは。四番隊組長と柔術師範。介錯、ボクがしてあげよっかァ?」

 ―――え!?
 少女のような中世的な顔をした少年(いや、正しくは列記とした少女なのだが)、千鶴の表情に、恐怖と不安が表れる。!、と、土方の怒号が飛んだ。すっみませーん、と笑い、千鶴の横を離れる。しかしその目は冷たく、鋭い光を灯し、千鶴を見ていた。

「トシ、落ち着け。はこの張り詰めた空気を何とかしようとしてくれただけだ。な?」
「そうなんですよー近藤サン」
「ったく…近藤さんは甘過ぎるんだ」

 そう言いながら溜息をつく土方。はあ、と、その溜息の裏には、優しさと、尊敬。近藤のことを、慕っているのがこの部屋の全員―――千鶴を除いて、だが―――には分かった。同じように、慕っているから、なのだろう。
 …さて。近藤が、小さく咳払いをしながら言うと、空気は再び真剣なものへと変わる。

「昨晩の話を、聞かせてくれるか」





そして始まる夢物語
執筆者の眠りは深く





(091205)